嵐のようにやってきて、過ぎ去ったJNCC開幕戦。
全戦フォローをはじめて、早いもので8年。気がつけば、僕の家族を養う収入の柱にもなっているJNCCです。

昨シーズン、ご存じの通り圧倒的な実力をみせつけ「すぎた」感のある小池田猛。それを、なんとか追い込んでいけるよう全開で攻め続けた斉木達也。それまでの鈴木健二VS渡辺学の時代が、一気に塗り替えられたとさえ思ったほどでした。斉木は、最終戦で足の指の骨を骨折しつつもプッシュし続けたとのこと。
この4名の勢力図、昨シーズンはマシンウォーズでもありました。
一番無難だったのが、小池田の350EXC-F。パワー・トルクともに申し分なく、足回りもしっかりXCに向けて決まる。斉木は、これに対してライトウェイトでレスポンスに優れるSX-F、しかもFactory Editionの250をチョイス。振り回して乗るスタイルを100%活かせるものの、キックのないモトクロスバイクである、という弱点を負っていました。XCではキックがかなり大事。スタートを確実に遅れず出るには、キックが不可欠です。
実は今年の小池田の駆るFE250もキックを持っていません。KTM陣営、ハスクバーナ陣営は、このスタートのシビアさに対して、必ずレース前にバッテリーを充電して最高の状態を保てるようにしています。
モトクロスバイクならまだしも、XC・EDマシンの4スト250は、最前線で戦う4名にとってアンダーパワーが否めないところ。小池田も、今年のマシンについてハスクバーナの公式なリリースにおいて、あえて厳しい環境に身を置くことで、シーンと共にレベルアップしたい趣旨を盛り込んでいます。ヤマハ陣営では、今までYZ250FXについて決してアンダーパワーであるという表現をしてきませんでしたが、鈴木健二が昨シーズンYZ250Xであの活躍ぶりを魅せたことを考えれば、言わずもがなといったところでしょう。
そして、2スト250のYZ250Xは、今年渡辺学に託されることになりました。
このあたりのマシンのチョイスは、非常に興味深いところ。特にモトクロス的なサザンハリケーンでも、小池田がトップを守り抜きました。次戦、XC的な要素の増すテージャスランチでどう出るかによって、今年の戦力図が明らかになります。