JNCC第5戦ドリーミンほおのきレポート「小池田ついに敗れる! ハイスピードコースで渡辺学が完勝」

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JNCC第5戦、ドリーミンほおのき。今年は全8戦となっており、シリーズも折り返しとなる今大会でついに小池田猛の連勝がストップした。

ほおのきもレース前夜は雨。今年のJNCCは阪下以外、すべての会場でレース前日が雨に見舞われている。レース当日の天候がよかったこと、あまり雨量が多くなかったことから、ゲレンデは概ねドライコンディションとなったが、一部、鈴蘭のヤチのようなマディコンディションのウッズが出現し、難易度を高くした。

ほおのきは去年、「ほおのき転がし」、「クリフハンガー」という2本の激下りセクションが大きな話題を呼んだコース。今年はコースレイアウター鈴木健二によって、クリフハンガーには迂回ルートが設定され、ほおのき転がしも比較的安全に下れるラインが作られた。そんな中、今大会の勝敗を分けたのは登りセクションだった。

キッズ&トライ

朝一のキッズ&トライではほおのき特有の急斜面ヒルクライムに小排気量のマシンは苦戦を強いられた。

今年は小池田猛の開幕4連勝が大きな話題だが、キッズ&トライでもKTM SX85に乗る廣田優大が開幕から4連勝中。そして今大会も転倒により2位に後退する場面もあったが、最終的には見事に抜き返し総合優勝、開幕5連勝とした。

COMP-Aの保坂修一や、廣田優大など、10代の若手ライダーの活躍が目立ってきているJNCCだが、今大会ではハスクバーナのTC50を駆る8歳のライダー、岡本矗がSK-Miniクラスでデビューを果たし、見事に一周。表彰台で笑顔を見せてくれた。

FUN-GP

FUN-GPではコースコンディションを考慮してゲレンデの直下りダウンヒルと、その直後の直登ヒルクライム、頂上からの激下り、ウッズを使った下りセクションがカットされ、コース難易度が大きく下げられた。

しかし、それでも十分に走りごたえがあるのが、ほおのきだ。全体的にはハイスピードで快適に走る姿が目立ったが、カットされず残された下り斜面では多くのライダーが転倒し、掘れて木の根や切り株が姿を現したウッズセクションではスタックが続出、レース中盤で大渋滞が発生した。
レース結果はというとFUN-A優勝が佐藤敬司。2位には櫻井隆仁が入った。また、FUN-Bクラスで優勝した横山直は総合でも3位に入る走りを見せた。激戦のFUN-Cクラスを制したのは田沼禎将。FUN-Dは5年ぶりのJNCC参戦というキャンオフ出身ライダー、大山稜生が優勝した。

そして注目のFUN-WAクラス。今年は怪我に悩まされ、ポイントリーダーを退いている昨年のチャンピオン菅原悠花は、序盤で石本麻衣とデッドヒートを繰り広げたが3周目でマシントラブルに見舞われ、順位を大きく下げてしまった。石本は菅原とのバトル後も、追い上げてきた近藤香織からトップを守りきって優勝。これでFUN-WAクラス3連勝とし、目標としている年間チャンピオンに大きく近づいた。

石本麻衣
「初めてのほおのきだったのですが、勝てて嬉しいです。最初はずっと菅原選手とバトルしていて、楽しく良いペースで走れていて、総合順位も14位まで上がっていました。だんだんコースも掘れてきてスタックするライダーが増えてきたので、ウッズの渋滞は抜けるのが大変でした。次の月山も初めてのコースですが、頑張って勝ちたいと思います」

FUN-WBクラスは関山海生子が制し、こちらもクラス3連勝。FUN-WDクラスは小澤いずみが優勝。2位にはCOMP-GPでレース実況も務めた吉田夢海が入った。

COMP-GP

COMP-GP、最高峰のCOMP-AA1クラスではチャンピオン小池田猛、ランキング2位で虎視眈々と隙を伺う渡辺学、ISDEに向けて準備万端で今大会は戦闘力の高いYZ250Xにライドする鈴木健二、広島に続きスポット参戦した釘村忠に注目が集まった。

まずスタートで内山裕太郎が飛び出すと釘村忠が前に出て集団をリード。鈴木健二、斉木達也、渡辺学と続いた。斉木が一周目をトップで戻ってくると渡辺が斉木をパスしてトップを奪い、独走状態を確立。釘村と鈴木が2位を争う展開となった。

レースは渡辺がそのままトップを守りきり優勝、2位に釘村、3位に鈴木という結果に。小池田は一周目から小排気量のマシンとタイヤの選択ミスによりヒルクライムに苦戦。思うように順位をあげることができなかった。中盤でタイヤ交換を行い、ようやくヒルクライムを登れるようになるも、大幅なタイムロスを喫し、最終的には9位でチェッカーを受けた。

渡辺学
「小池田選手がスタートからあまり出てこなかったので、釘村選手と鈴木選手とのレースになると思って走っていました。コースもあまり難しくなかったので、序盤は後ろとの距離はあまり意識せず、逃げられるだけ全開で逃げて、追いつかれたらそれからしぶとくついていけばいいかな、と。今回はそれがうまく結果につながりましたね。途中からは少しマージンを作ることができていたので、スタックしているライダーが多いところなどは、少しくらい遠回りしても確実にクリアできるラインを選んで走りました。今日は勝てるコースだと思ってそれなりに準備してきたので、しっかり勝つことができてよかったです」

釘村忠
「ほおのきは初めて走ったのですが下見した時点で下りが危ないなって思ったので、そこだけ慎重に走って、攻められるところは攻めようかなって思っていました。作戦としては最初からトップについていこうと思ったのですが、予想以上に渡辺選手が速くてついていけませんでしたね。鈴木選手とはずっとバトルしてたのですが、最後は若さをアピールして必死に頑張りました。渡辺選手がやっぱり速くて一周で2〜30秒くらい離されてしまったので、まだまだ実力不足かな、と。全体的には登りが多いコースだったのでCRF450RXの長所が活かせたと思います」

鈴木健二
「今回はサスペンションセッティングやグラフィック、ホイールが新しくなった18年モデルのYZ250Xを使って走りました。最初は釘村選手がいい感じで走ってたので、ずっと抜きつ抜かれつ、最後の方で一回離したんですけど、頂上のところでショートカットになった時にけっこう待たされて追いつかれちゃって、そこで僕の体力切れちゃいましたね」

小池田猛
「今回はマシンのパワーの差が顕著に出たレースでしたね。登りがすごくフカフカで、登れるか登れないかギリギリのところがあって、何回もやり直したりしていました。ただ、途中でタイヤを変えたらなんとか登れるようになったので、タイヤの選択ミスもあったと思います。普段はあまりバトルできない小林雅裕選手や山本浩史選手と一緒に走れたので、そこは面白かったですね。次は爺ヶ岳の8耐に原田選手とハスクバーナワークスチームを結成するので、そこでしっかり勝ちたいと思います」

また、COMP-AA2は松尾英之が1周目からトップを譲らない安定したレース展開で、嬉しい今季初優勝をマーク。

松尾英之
「お疲れ様でした。けっこう全開で開け開けのコースで楽しかったです。総合では14番ですが、AA2クラスで優勝できましたので、すごく嬉しいです。ありがとうございました」

そしてCOMP-Aクラスには中島敬則、村上洸太、鈴木涼太、河村広志、渡辺誉など、モトクロスの国際ライセンス保持者が集まり激戦となった。その中で今年は全日本エンデューロ選手権でも活躍している中島敬則が爺ヶ岳に続いて連勝。COMP-Bクラスは中村賢太が初優勝、COMP-Rクラスは爺ヶ岳に続いて大出和弘が優勝した。

中島敬則
「今回は転んでもいないのになぜかうまく走れなくて、途中で4位になっちゃったので諦めて順位も見ないで走ってたのですが、中盤でふとモニター見たら2位になってて、そこからやる気出して頑張って走ったら、なんとか勝つことができました。最近はずっと日野のハードエンデューロコースで練習してるので、頂上付近の渋滞してショートカットになったセクションとかも難なく走ることができました。YZ250FXだとパワーがかなり不足していましたが、開け開けで楽しいコースでしたね。最後、小池田さんに抜かれてしまって総合10位だったので、次は総合で1桁に入りたいです」

Written by ANIMALHOUSE