JNCC第6戦スプラッシュ月山レポート「水にやられるアクシデント続出、経験豊富な小池田に軍配」

IMG_9328

JNCC第6戦は山形県、北月山トレッキングフィールドの河川敷を使ってレースがおこなわれた。今大会が終わるとシーズンも残すところあと2戦。チャンピオンの行方を左右する大事な一戦だ。

天候はレース前日、当日ともに曇り。JNCCによくあるゲレンデコースではなく河川敷ということでヒルクライムや急傾斜の下りのようなセクションはほぼなく、川渡りとガレ、林道コースがメインとなった。
山間部は前走者の土煙で、川辺では水しぶきで視界が奪われ、ライダーはハイスピードながらも慎重な走りを余儀なくされた。また、水によるトラブルも続出した。COMPに比べれば川渡りセクションの少ないFUNクラスですら、レース途中で突然エンジンが停まり、動けなくなったマシンが何台も見られ、それはクラストップを走っていたライダーも例外ではなかった。

今大会はISDEのレース期間と重なっており、ヤマハの主力である鈴木健二と内山裕太郎が欠場。優勝争いは現在ランキングトップの小池田猛と、前戦ほおのきで今季唯一、小池田に土をつけた渡辺学に注目が集まった。

キッズ&トライ

キッズ&トライはコースが短く、速いライダーは3分ちょっとで周回できてしまうレイアウト。しかし、短いながらも月山らしさを体感できるように短い川渡りセクションが作られていた。パドックからほど近い川には朝から多くの観客が詰めかけ、水しぶきが上がるたびに歓声をあげていた。
一周目はトライMENクラスのベテラン、日置高久が総合トップを走っていたが、やはりJH-Miniの廣田優大が黙ってはいなかった。2周目で日置を捉えるとその後は譲らず、トップチェッカーを受けた。
「応援ありがとうございます。今日は日置さんをラップしようとしてレースに出たのですが、ラップできなかったので、次はラップできるように頑張ります。ありがとうございました」と廣田優大。13歳にしてすでに表彰台で笑いをとる余裕を持っている。
「今日は月山初めて来たのですが、優勝できたので来たかいがありました。おとといの晩、マナブギョーザを食べたので、力が湧きました」とトライMEN優勝の日置。

FUN-GP

山形県という会場の位置から、比較的エントリー数の少ない月山だが、FUN-GPではやはり渋滞が発生した。スタートして直後の山間部への入り口にあるヒルクライムが狭く急斜面で、掘れやすくなっているため、一周目から上れずにスタックするライダーが続出。パドックからほど近いこともあって、AAライダーの渡辺学や小林雅裕をはじめとした多くのスタックスイーパーが駆けつけたが、この渋滞はレース終盤まで続いた。
FUN-GPでは本格的な川渡りセクションが設定され、水によるマシントラブルが多かった。爺ヶ岳8耐で優勝した宇津野泰地もその一人だった。レース終盤、総合3位を走行中に突然のエンジンストップに見舞われ、復帰に3分ほどロスしてしまい、悔しい結果となった。またFUN-Dクラスでも終盤までトップを走り続けていた13歳の佐々木一晃のマシンがエンスト。そのままレースに復帰できずクラス5位の成績となった。
FUN-Aクラスで優勝したのはベテランの山本正。「今回は3年ぶりの月山ということでKDXを3年ぶりに引っ張り出してきて、やる気十分だったのですが、ウエア一式を忘れて来てしまいました。帰ろうかと思ったのですが、MC GEARさんとラッキー商会さんでなんとかウエアを調達し、レースに出ることができました。久しぶりの2ストで戸惑いましたが、無事優勝することができました。ガレ場で転んだ時に助けてくれたみなさん、ありがとうございました」
そしてFUN-Bクラス、さらに総合優勝も成し遂げたのが小池昇だった。「野頭さんや横山さんと競って走っていたので、クラス上位にいることはわかっていましたが、集計ミスかもなーと思って走ってました。途中、水吸っちゃって一回エンジン停まってしまったのですが、渋滞していたガレ場で一回も止まらずに登れたので、そこで抜き返してトップになれました。終わってから総合でも1位だったと知って驚きました」と語った。
激戦のFUN-Cクラスは終始安定したラップタイムでトラブルなく走りきった松本陽一が優勝。「ありがとうございます。まさか一位取れるとは思ってなかったので、びっくりしています。ガレのところで何人か倒れている人の上に乗っかってしまって、申し訳ありませんでした。今日はありがとうございました」
FUN-Dクラスは西岡俊康が優勝。「みなさん、お疲れ様です。いつも遊んでいただいているチキンレーシングのみなさま、アドバイスをいただいている野頭さん、サスペンションのセッティングをアドバイスいただいている秋田のグランテクニッシュさん、ありがとうございました。おかげで優勝できました!」
また、ウィメンズクラスのトップカテゴリー、FUN-WAクラスでは石本麻衣が優勝、第3戦の鈴蘭からここまで4連勝とした。
「応援してくださったみなさん、ありがとうございました。コースは水が本当に嫌で、ガレ場でも埋まってばかりでした。でもなんとか走りきることができました。バイクを作ってくださった原田さん、ありがとうございました。来週は久しぶりに全日本モトクロスへ出場するので、そちらも頑張ります」
石本はこれで目標である年間チャンピオンがかなり現実味を帯びてきた。
FUN-WBは関山海生子。「皆さんお疲れ様でした。ブーツが重いので早く脱ぎたいです。ミニモトにはかなり厳しいコースだったと思います。ハイスピード区間ではいかに上手に抜かれるか、と意識して走ってました。クラス優勝できて嬉しいです」
そしてFUN-WDは吉田夢海が優勝した。「私はこのコース初めてで、新しいウエアで気分が乗っていたのですが、一周目でまさかの水没してしまいました。水場でも山でもたくさんの方に助けていただき、感謝しています。ありがとうございました」

COMP-GP

JNCCのメインイベントであるCOMP-GP、午前中にレース終えたライダーや家族たちが大勢見守る中、レースは始まった。スタートの得意な石戸谷蓮がホールショットを決めると、渡辺学がすぐにパスしてトップに。そこに小池田猛、斉木達也、出口隼飛が続いた。
渡辺は一周目終盤のガレ場セクションでチェーンが外れるアクシデント、出口は3周目に水にやられてエンジンが止まるアクシデントに見舞われ、トップ争いは小池田と斉木に絞られた。
昨シーズンは毎戦のように展開された小池田と斉木のバトルを、ようやく見ることができた。中盤まではほぼ斉木がレースをコントロールしていたが、なんと8周目に斉木のマシンがストップ。小池田は独走状態となり、そのままトップチェッカーを受けた。最高峰クラスのトップ争いでも水のコースを走るリスクの大きさを実感することになった。
一周目のトラブルでトップから遅れていた渡辺が徐々に順位をあげて2番手でゴール。3番手には出口隼飛が入った。

小池田猛
「応援してくれたみなさん、ありがとうございます。今回すごく川が深くて、水没させないように気をつけながら走ってました。前半みんなと争うことができて、すごく楽しく走れました。ありがとうございました!」

渡辺学
「無事に終わってよかったです。最初から攻めてれば勝てるかなって思ったのですが、一周目にチェーンが外れたりチェンジペダルが曲がったり重大なトラブルが重なってしまい、普通に走るだけで精一杯でした。次までに面白いレースができるようにしっかり準備してきたいと思いますので、応援よろしくお願いします」

出口隼飛
「応援ありがとうございました。午前中にいま勤めている武蔵重量の大内さんが一周目にトップで帰ってきて、僕も適当な成績で帰れないと思ってできる限りのことはやりました。バイクもナグモータースさんがしっかりとしたバイクを作っていただき、タイヤもIRCさんのVE33がすごくよくて、チームもみんな協力してくれて、毎戦少しずつ成績が上がってきています。今後も頑張っていきます」

また、COMP-AA2クラスは佐藤正和、COMP-AクラスはモトクロスIA中島敬則とのバトルを制した阿部佑哉、COMP-Bクラスは鈴木勝博と、MOTOCOWBELL RTが3クラス制覇を達成した。

佐藤正和
「お疲れ様でした。最初から最後まで気が抜けないレースでした。自分も1位で嬉しいのですが、MOTOCOWBELL RTで3クラス1位になったというのはこれまでにない感動ですね。いい月山大会になりました。ありがとうございました」

阿部佑哉
「お疲れ様でした。最後まで中島さんとバトルしてて、なんとか前を走れて勝てたのでよかったです。戻ってきたらここにMOTOCOWBELLのバイクが2台並んでたので、びっくりしました。嬉しいです」

鈴木勝博
「優勝できて嬉しいです」
鈴木は感極まってしまい、言葉につまりながら、かろうじてこれだけ絞り出した。

COMP-Rクラスは爺ヶ岳から3連勝となる大出和弘が優勝。
「お疲れ様でした。応援ありがとうございました。最初は深い川に入ってしまったり小さなミスが続いていたのですが、3周目くらいから次第に良い走りができるようになりました。また頑張りたいと思いますので、応援よろしくお願いします」

Written by ANIMALHOUSE